稼いだ金全部使うウーマン

賃金を燃やした炎で不確かな足元を照らす日々

続・美術館に行くのたのしいねって話

改めて、皆様あけましておめでとうございます。

年明け早々、大きな地震や事故・事件などが続く日々でいつもとはやや違った気持ちで過ごした年始だった。今平穏に過ごしていることは当然じゃないんだということを改めてちゃんと理解しつつ、幸運にも平穏でいられる特権をきちんと活用して出来る寄付や支援を継続的にいかなきゃいけないと改めて感じています。同時に、公助しっかりしろ!と声を大にして求めていきたいとも思います。

さて、2022年からゆるく続けている美術館巡り。2023年も振り返ると色々行ったな〜となったので、昨年の活動棚卸し的な意味も込めて、今年もまとめてみました。

 

▽去年書いた記事はこちら

aso414.hatenablog.com

 

 

 

2023年に行った展示

(※自分用備忘録。長いので読む必要は全くない)

佐伯祐三 ― 自画像としての風景」@東京ステーションギャラリー

「#02 KOJI YAMAGUCHI / 山口幸士」@Ginza Sony Park

「訪問者 クリスチャン・ヒガシ&タケシ・ムラタ展」@銀座メゾンエルメスフォーラム

「諏訪敦 眼窩裏の火事」@府中市美術館

府中市美術館常設展≪みること・つくること・さわること≫」@府中市美術館

「平子雄一×練馬区立美術館コレクション展」@練馬区立美術館

クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展」@東京都現代美術館

MOTコレクション コレクションを巻き戻す2nd」@東京都現代美術館

マリー・ローランサンとモード」@bunkamuraザ・ミュージアム

「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap」@アーティゾン美術館

「アートを楽しむ ー見る、感じる、学ぶ」@アーティゾン美術館

「邸宅の記憶」@東京都庭園美術館

「久保田一竹美術館 常設展」@久保田一竹美術館

「松本和彦≪心の糸≫」@KYOTOGRAHIE京都国際写真祭 

「高木由利子≪PARALLEL WORLD≫」@KYOTOGRAHIE京都国際写真祭 

「マベル・ポブレット≪WHERE OCEANS MEET≫」@KYOTOGRAHIE京都国際写真祭 

平等院鳳凰堂 鳳翔館 常設展示」@平等院鳳凰堂 鳳翔館 

「部屋のみる夢」@ポーラ美術館

「HIRAKU Project Vol.14≪丸山 直文 水を蹴る―仙石原≫」@ポーラ美術館

「コレクションの20世紀」@名古屋市美術館

「芸術家たちの南仏」@DIC川村記念美術館

「Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023 受賞記念展≪さばかれえぬ私へ/Waiting for the Wind≫」@東京都現代美術館

MOTコレクション 被膜虚実/めぐる呼吸」@東京都現代美術館

「大巻伸嗣—地平線のゆくえ」@弘前れんが倉庫美術館

青森県立美術館 コレクション展」@青森県立美術館

十和田市現代美術家 常設展」@十和田市現代美術家

「劉建華 ≪中空を注ぐ≫」@十和田市現代美術館

エマイユと身体」@銀座メゾンエルメスフォーラム

「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」@アーティゾン美術館

「テート美術館展 光」@国立新美術館

「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる 」@国立新美術館

「デイヴィット・ホックニー展」@東京都現代美術館

「あ、共感とかじゃなくて」@東京都現代美術館
「TOPコレクション展 何が見える?「覗き見る」まなざしの系譜」@東京都写真美術館
本橋成一ロベール・ドアノー 交差する物語」@東京都写真美術館

「風景論以後」@東京都写真美術館

「ジャム・セッション石橋財団コレクション×山口晃 ここへきてやむに止まれぬサンサシオン」@アーティゾン美術館

「創造の現場」@アーティゾン美術館

石橋財団コレクション展」@アーティゾン美術館

「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」@DIC川村記念美術館

「In Praise of Shadowsヴェルサイユ宮殿 森田恭通 写真展 」@シャネルネクサスホール

杉本博司本歌取り東下り」@松濤美術館

「ダイアローグ1 ≪新たな生≫崔在銀展」@銀座エルメルラフォーラム

福田美蘭 美術って何?」@名古屋市美術館

「MoCAコレクション展」@バンコク現代美術館

「白井美穂 森の空き地」@府中市美術館

…計46展示。

2022年は35展示だったので、訪問回数はやや増加傾向。

改めて振り返ると結構行ったな~!という気持ちでいっぱい。でも11月以降は繁忙期に負けて、ぜひ行きたいと思っていた展示をいくつかスキップして悔しい思いをしたんだよな…。「会期長いし後でいいか~」は命取りだと心に刻んで、2024年は気になったら即行くを実践していきたいところ。

 

2023年鑑賞体験振り返り

さて、そんな35展示に赴いた2023年の鑑賞体験を振り返って感じたことなどを思いつくままにザッピング。

美術館ってきれい。

前からうすうす思ってはいましたが、美術館ってきれい。

そもそもがアート作品を並べて展示する箱であるわけだから、当然っちゃ当然なのかもしれない。でもなんだか2023年は、その事実が胸に迫るように感じられることが多かった。

歴史的価値のある建造物をリノベ(というのか?)している美術館はクラシック&モダンな趣が満ち満ちており、ふと目をやると「あら~!」みたいな、そういう声を思わずあげたくなるような美しいあしらいがそこかしこに。この美しさを何十年も前の人も同じように見てきれいだなぁ、素敵だなぁと思っていたんだろうなと思うと胸にぐっとくるものがある。


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↑(左)クラシック&ロマンチック!と胸キュン(古い表現で恐縮です)してしまうステーションギャラリーのシャンデリアと天窓。(右)行く度「住ませてくれ~!」と思わずにいられない庭園美術館

晴れた日の美術館の美しさは格別。

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美術館は雨天でも楽しめるけど、やはり天気のいい日に行くと特別嬉しいなと感じるのは光の入り方を楽しめるから。初夏に行ったPOLA美術館や名古屋市美術館は、燦燦とした光がそこかしこから差し込んでいて幸福~な気持ちになった。特にPOLA美術館は、それまで曇天に行くことが多かったからかド快晴の日に行って「こんな美しい建物だったんかいワレ」状態に。

どの美術館でも展示スペースの照明は作品保護のためにやや暗めなことが多いので、コントラストが楽しめるのもいい。

 

でも晴れてなくてもいいんだわ。

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↑(左)何度行っても好きだ~となるDCI川村記念美術館。曇りの日のステンドグラスには教会のようなストイックな美しさがある。(右)松涛美術館の薄暗い階段にさりげなく配置された照明。光と影のコントラストが美しすぎ!洗練された美意識を感じます。

かといって、曇りや雨だときれいじゃないかというとそんなことない。陰りのある気候であったり、陽が落ちかけの夕方に行くと照明の雰囲気を思いっきり楽しめたりもする。ちょっとアンニョイな雰囲気はアート鑑賞のムードにもぴったり。

結論、いつ行っても美しいし楽しい。

今年もいろいろな美術館に行ってきれいだな~とほれぼれした気持ちになりたいな。

 

同じ美術館に何度も行くっていい

美術館巡りを意識的にするようになって丸2年。都内を中心に定期的に訪問する美術館が出来てきた。基本的には企画展目当てだけど、常設展示は企画展とリンクさせたラインナップにしていることも多いし、その美術館の収蔵品の傾向が分かったりして面白いので、2023年は意識的に常設を見るようになっていた。そうなると、常に展示されている看板作品(?)たちを定期的に見ることになる。そうするとおのずとそれらの作品に愛着がわくようになるのだ。

2023年に定期的に通ったのはDIC川村記念美術館やアーティゾン美術館、東京都現代美術館。それぞれの美術館にはアイコニックな作品が必ずあり、毎回いく度それらを見るとなんだかうれしい。何度も見ているので、別に目新しさはないんだけれど、顔見知りに会った気分というか「やっほ~☺」と挨拶したい気持ちになるというか…。

さらに、定期的に通っていると「新収蔵品」と書かれているものを見つけることがあり、常に新しい作品を迎え入れているという事実に改めて尊敬の念を抱いたりもできる。美術館って古いものを保管しているだけの場所じゃなくて、常に新陳代謝を繰り返している場所なんだな~というのが分かるのってなんか楽しいなと思う。

海外で美術館にいく楽しさ

2023年はコロナ禍以来3年ぶりの海外旅行でタイに出かけた。

タイではバンコク現代美術館に行き、そこで改めて海外で美術館に行くの楽しいなと再確認した。言語が分からなくても見ているだけで楽しめるし、その土地に根差した作家を知れるのもいい。もちろん美術館の特色によるものもあるけど、その国っぽさみたいなのも感じられるのがなんかいいんだよな。


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2024年、海外に行くのかはまだ分からないけど行くとしたらぜひまた美術館に行きたいな。

 

写真作品との向き合い方が何となくわかったかも。

長いこと写真作品にうっすらとした苦手意識があった。嫌いというわけじゃないけど、どう見ればいいのかいまいちわからないな~みたいな、チューニングの合わなさがずっとあって、写真作品の企画展示などはスキップしがちだった。

それが、2022年にアーティゾン美術館で「 ジャムセッション写真と絵画-セザンヌよりー柴田敏雄鈴木理策」」を見て以降、写真作品も面白いかもな~と思い始め、2023年はその気持ちがどんどん強くなっていった年だった。特に5月にKYOTO GRAPHIE京都国際写真展で見た展示3つがそれぞれに素晴らしく、さらに全く違ったアプローチの作品たちだったのもあって、写真作品を見る楽しさにどんどんチューニングがあった気がする。

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↑KYOTO GRAPHIEは法事の隙間時間に行ったのでかなり時間がタイトで、結局3展示しか見れなかったことが悔やまれる。今年はぜひしっかり見て回りたい。


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↑3展示ともどれも素晴らしかった。被写体もアプローチもそれぞれ違って見ごたえありまくり。行けてよかったなぁと思う展示ばかりだった。

それ以降、東京都写真美術館の企画展を意識的にチェックして見に行ってみたり、写真作品との接点を増やしている。

東京都写真美術館はその名の通り全館写真作品メインの美術館で、さらには大体3企画を同時でやっているので上から下まで見ていく内にどんどん写真作品経験値(?)が蓄積されていくのを感じる。ここで「本橋成一ロベール・ドアノー 交差する物語」を見て、人物作品って人間が好きじゃないと撮れない感じするな~と思ったりしたのが思い出深い。絵画より対象への愛着がにじみ出やすい気がしたんだよな~それもあって写真は人物が映ってる作品が好きな傾向にあります。

今までちょっと距離を置いていたジャンルになじみができたのがなんだかうれしい。今年も積極的に見ていきたいなと思ってます。

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↑TOPは企画展のボリュームがちょうどよく、結構遅くまでやっているので仕事終わりに行きやすいのもいい。今後も定期的に行きたい美術館のひとつ。

 

自分はどんな展示が好きなんだろう

よく展示に一緒に行くあとり氏(id:aatorii)が、よく「暗闇に展示された作品は好き率高い」と言っていて、自分の好きな作品の傾向をとらえてるのってカッケ~と憧れていた。それもあって、自分の好き傾向を言語化したいな~と思いつつ過ごした2023年だった気がする。

まだまだ鑑賞数も少ないからあれだけど、何となく「でかい絵画」と「ワンフロアぶちぬき展示」が好きなんだなということが見えてきた。

「でかい絵画」に関しては、「広い空間」がセットだとなお良し。空間に余白があると、作品のボリューム感とか、テクスチャがよりまじまじと感じられる気がしてなんか嬉しくなってしまう。寄ってよし、引いて良しで二度お得!(?)


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↑デイビット・ホックニー展はでかい絵画の連続で最高だった。部屋を変えるたびに「でっかい絵だ~~!!」とキャッキャしてしまった、また見たいな~でっかい絵…。

ワンフロアぶち抜き展示は、インスタレーション系作品を見ていて感じた好み。

でかい絵画が好きなことにも共通するけど、広い空間に作品があるって状況が好きなのかもしれない。余白があってほしいというか。


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↑展示室に入って、ぶち抜き展示だと「いえーい♪」ってなってしまう。

まだまだ固まり切っていないし、気分というのは変わるものなので別に固める必要もないとは思いつつ、漫然と見るより「なんでこれが好きなのかな」と考えながら見るのはより作品の咀嚼力(?)が高まる気がするので、今年も継続して考えていきたい。

裸婦画にキレまくり

年々、女性をめぐる様々な辛い現実に「無理なんですけど!?」と苛立ちを感じる気持ちを抑えられなくなってきており、それに付随してか「裸婦画」というテーマがどうにもこうにもなんか嫌っ!となることが増えてきた。

もちろん芸術において裸婦画が重要なテーマであることも、様々な傑作があることは理解しているし、昔の作品を現在の倫理観でジャッジするってどうなの?みたいなことも分かる。でも…でもなんか嫌なんだよな!?このテーマ、女が服着てたらあかんのけ!?という気持ちになっちゃうの、すいませんね。

裸婦画の中でも嫌じゃない作品というのはあり、それはたいてい女性作家の作品であることが多い。当然かもだけど、目線がフラットで「裸」以下でも以上でもない感じがする。一方で「これは題名≪チューリップ≫じゃなくて≪スケベ心≫だろうがッッッ」と思わずにいられない作品とかもあり、毎度「これはいい、これは無理」などと心の中でジャッジしまくってしまうので忙しい。

その内一周して「裸婦画って素晴らしい」みたいになるのかな?ならない気もする。

 

2024年も楽しむぞ!

思うがままに書いてきたけど、改めて美術館巡り、楽しいな~!

好きな展示、イマイチだった展示いろいろあるけど「行かなきゃよかった」と思ったものってないかもしれない。なんだかんだで感じることや気づきがあって都度面白いのがすごい。さすがずっと続いてきたエンタメジャンル(?)なだけある。

年間通して追いかけきれないほど様々に魅力的な企画展が走り、日本全国・さらには世界中に素晴らしい美術館があると思うと果てしない気持ちになるし、こんなん一生楽しめちゃうじゃん~と心強い気持ちにもなる。

美術館賞はインドアな趣味と思われがちだけど、なんだかんだで鑑賞中はたくさん歩くし、目当ての美術館に行くために遠出も辞さないのでなかなか体力がいる面もある。もはや美術館巡りは生涯スポーツといえよう!

これからも無理せず、でも長く楽しんでいきたいな。

そんな気持ちを胸に、2024年も色々見ていければと思います。折々でこのブログでもまとめを書いていこうと思うので、気が向いたら見てやってください。


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↑ジャーナルも着実に増えており、見返していくと楽しい。

では皆様今年もどうぞよろしくお願いします。

 

完!