大晦日です。
毎年この時期になると、大掃除で死蔵していたiPad miniを発見し超久々に起動からのこの駆け込みブログを書いている気がする、今年もそうです。
うまいもん消費とおなじく、ぼっとしていたらすっかり機を逃してしまったエンタメまとめを2ヶ月まとめて放出します。
■書籍
映画版「あのこは貴族」を見て、山内マリコ作品読みたいな〜と思ってKindle Unlimitedに出ていたこちらを読みました。全編かわいく小首を傾げつつも家父長制に中指を突き立てるようなムードがあってとても良かったです。こういうマインドを大切にしたい。
今回もとても良かった、マジでケンジとシロさんが家族になっていく様が胸熱すぎる…。あとジルベールとシロさんの絡みがめっちゃ好きなので里帰り会読めば読むほど味がある。
WEB連載を見てめっちゃ良!!!と思っていたので単行本化のタイミングで電子で購入しました。推したい気持ちは金銭で表明。
メンバーそれぞれの個性が文章から滲み出てきていて、それがそれぞれ素晴らしく良い。自分のことも、メンバーのこともすごく大切にしてるのが伝わってきてなんといういたわりと友愛じゃってナウシカの婆様になっちゃうよあたしゃ。個人的にはあんり回がいつも好きです、常に自問自答と改善を繰り返して正しい人類すぎて眩しい。あと自分の気持ちの言語化が上手い。
そしてこの本はなんといっても巻頭のグラビアが良すぎるので全ての同性に見て欲しい。
酒寄さんの「育休中に相方がめちゃくちゃ売れた」というnoteを読んで良すぎて天を仰いだのですが、まとめて読みてーっとなってもなかなか電子にならずウダウダすること半年くらい。いつのまにかKindleに来ていたので上のエッセイ本を買ったタイミングで購入しました、押したい気持ちは金銭で以下略。
私はいつか子供を持ちたいと思ってる派なんですが、そうなった時今の楽しい・大切な友人たちとの時間や関係性がどうしようもないくらい変わってしまうのではないかということがすごく怖くて惜しいという思いがずっとあって、でもこの本にそういう漠然とした不安をぎゅっと助けてもらった感じがしました。もちろんこんな風に素晴らしい関係性が誰にでも訪れるわけではないだろうけど、同時代の日本にこういう関係値を築いている人たちがいるんだってことがカイロのように私を温めてくれんのよ。いや別にそこがメインではなくめちゃくちゃふふってなるオモロエピソードエッセイなのでその点だけでも最高です。各メンバー登場の書き下ろしも楽しくて良い。
TBSラジオsessionのリスナーなんですが、少し前に作者のこだまさんがゲストで来ていておもろい人だなと思ったので読んでみました。
淡々とした筆致からも、その時の焦燥感閉塞感、でもそんな現状からもこぼれてくる幸福や未来への展望みたいなのが感じられて良いエッセイだなあーと思いました。
スポ根が読みたい時に読む漫画と化している。今回も魂かけて同人やってて最高でした。これ読むと自分もなんか本作りたいな〜って気持ちが盛り上がってしまう。これはスポ根漫画読むとスポーツしたくなるのと同じ現象。
■映像系
Netflix「あのこは貴族」
タイムラインでの評判が良くて気になっていた。配役が絶妙で、どの登場人物もいそう…!感が凄かった。特に高良健吾…
原作の雰囲気をとても大切にしつつ、映像だからこその世界観の奥行きを出せている感じで、とても質の高い実写化だな〜と思いました。原作読み返したくなった。
アニメ「水星の魔女」
引き続き楽しく追いかけています。どの回もテンポよく、次回への引きも良くとても質が高いなと思う。
スレッタとミオリネさん激推しなので最新話の仲直り回最高だったな〜!!学生たちがそれぞれトライアンドエラーを繰り返しながら前進していっている感じがとても好きです。一期終わったら急にトーン変わったりするのかな…怖い…
アニメ「鉄血のオルフェンズ」
水星を見ていて、他のガンダムも見たいなーと思い過去作のこちらをDアニメでばばーっと見ました。「いのちの糧は、戦場にある」というキーコピー通り、戦場とその派生の場でしか生きられない子供達がとても辛かった…
地上戦でのガンダムが禍々しくておお〜ってなりました。兵器と悪魔の合いの子って感じでしたね、怖すぎ〜
映画「RRR」
タイムライン満足度が100000000%を超えていたのでそんなに言うなら(別に言ってはいない)って感じで見に行きました。
圧倒的キメ絵力ッッって感じで見てる最中「やりたい放題」「好景気」という言葉がくそデカフォントでバーンし続けていました。3時間越えと聞いていたのでトイレ問題大丈夫かいねと心配していたんですが尿意なぞ寄せ付けない展開に次ぐ展開で無事中座せず完走できました。これは凄いことだよ!?
しかし時代設定が英国植民地時代の話なので、過去植民地支配の加害者であった日本人たる私が支配を覆していく様を見て「爽快!!」とかカタルシスを感じていていいのだろうか…とふと冷静になりそうになる瞬間とかもあった。ただその思考を圧倒的画面力で捩じ伏せてきました、すごい。
あとラームの顔面があまりにも美しく「こんなに美しくてこの役者さんは日常生活に支障はないのか?」と意味わからん心配をしてしまった。登場シーンの目元だけで「こいつはモブじゃねぇ」と察することができるってすごない?
■展示
「見るは触れる 日本の新進作家展」@東京都写真美術館
写真・イメージの持つ手触りを起点に、イメージやメディアへの考察を促す(公式より)…と聞くと難しそうだけど、どれも感覚的に受け止めることができる作品群ですごく楽しい展示でした。特に多和田有希の<I am in You>は宙に浮かんだような展示の仕方も含めてとっても素晴らしかったな〜。
燃やして切り取られ、まるでレースのような写真がすごく美しい。母親と2人で作ることで対話という意味を含んでるのも良かったな。
有機的でぱーっと強い光が入ってるみたいな写真達でシンプルに綺麗。でも少し不可解な感じというか日常のふとした瞬間の、お?みたいなところが切り取られてる感じでこちらもとても好きな作品群だった。同時展示されていた本人の父親が撮ったフィルムを現像したファミリーポートレートゾーンもとてもパーソナルな暖かさに満ちていて良かった。絵と同じように、写真も被写体に向ける眼差しが顕著に現れるなぁと改めて実感できるような手触りに満ちていたと思います。
「星野道夫 悠久の時を旅する」」@東京都写真美術館
ボリュームがすごいし人入りも多かった。星野道夫は実家にいくつか本があるしアラスカ行った時には記念館みたいなところにも行ったけど、こんなまとまって本物?見たのは初めてでした。映像美に圧倒されてしまう、自然が雄大すぎてほぼFFじゃん…みたいな、後退りしてしまうようなすごさがありました。なんだか見ていてしみじみ「星野道夫はアラスカを愛していたんだなぁ」と納得したというか、すとんと胸に落ちたような気持ちになりました。
マン・レイへの知見が薄かったのと、オブジェフォーカスの展示ということもあって(自分が立体への受容性が低いので)もっとコンセプチュアルで難解に感じるかなと心配していたんですが、マン・レイが自由に作ってる感じが伝わってきて面白い展示でした。数あるオブジェの中でもトンチきいてて面白いなと思うものとなんか嫌だなって思うものがあって、同じ人が作ってるのに不思議だなーと思いました。とりあえずあとり氏と「男性作家が女性を楽器に例える作品てなんかムカつくな」という結論に達しました。なんかキショいんだよな(暴言)
オブジェと彫刻との違いは造形美の追求があるか否かである的なキャプションがあって、なるほどーって膝打ちしたしなんかこれを読んでから見やすくなった気がする。フォーカスがあったと言うか…。昔、箱根彫刻の森でピカソの陶芸作品群を見た時に絵画とかより肩に力が入ってなくて自由に作りたいもの作ってる感じがいいなと思ったことがあるんだけど、今回マンレイのオブジェ作品にもそれを感じた。楽しく作ってる個人コレクションをお披露目してもらった感、良かったです。
マンレイと同時開催のこちらも面白かった。
コラージュ作品て今まで意識して見たことなかったけど、余白や違うパーツが足されることで一つのものには無かった余白が生まれる感じがして面白い。作品全てに作者のシャイでドリーミーな感じが詰まってて良かったです。マンレイのオブジェ作品も、立体ではあるけど広義ではコラージュだなーって思ったので、この二つが同時開催なの良い構成だなと思いました、キュレーションの妙で楽しい。
我喜屋位瑳務「CHILLDIE IIIII」@FARO Kagurazaka Gallery
松田青子の「女が死ぬ」という単行本のカバーイラストで知ってからゆるく追いかけている我喜屋位瑳務の個展があると教えてもらい軽い気持ちで見に行ったんだけど、こんなに沢山生絵が見れるとは思わずとても嬉しかった!するするとした線が見ていてとても気持ちよ〜となります。描かれる女の子たちがみんなちょっと目がすわっててみんなケンカ強そうで肌がピカピカしてて大好き。
私は絵心が全くないのですが、そんな私でも「絵が描きたいよ〜」って気持ちになるよね〜
ご本人も在廊していて、作品集買ったらサインしてもらえて嬉しかったのもいい思い出です。
・
・
・
以上!2ヶ月分ですがそんな量がないかも。
この2月は仕事がバタバタしていて移動時間読書が全然できなかったのでそれが原因な気がする。ただ、そんな中でも良質なエッセイに触れられてハッピーでした。
あと東京都写真美術館に行って「写真て面白いな〜」と思えたのも良かった。以前アーティゾン美術館で柴田敏雄と鈴木理策展を見た時に写真作品も面白いかも…と思ったんですが、今回でその思いが確固たるものとなった感がある。写真ってあんまりテクスチャがないと言うか、つるっとしててとっつきにくい感覚があったんですが絵画作品と同じくくりで見れるようなチューニングができた気がする。東京都写真美術館はリニューアルしたばかりで綺麗だし展示ボリュームも多いしでとても気に入ったので、今後も展示をこまめにチェックしていきたいな。
・
・
さて、2022年のエンタメ振り返りも今回が最後です。
今年は「文化芸術接種を強化する」を目標の一つに挙げていたんですが、その目標通りたくさんの展示に行けたのがとても良かった。この振り返りは年明けにでも別記事にまとめたいなと思ってるんですが、しばらく距離があった美術館巡りというものの良さを再認識した一年でした。
書籍に関してはなんだかたくさんエッセイを読んだな〜という気がする。隙間時間に最適だったと言うのもあるし、長編の小説を読み切るテンションになかなかなれなかったのもあるので、来年はたくさん小説を読む年にしたいな。
映像系に関しては、いまいち映画館に行けなかったのが悔やまれます。単館上映系で面白そうなのたくさんあったのに腰が重くなかなかいけなかったので、こちらも来年は要改善。レイトショーなどを賢く活用してたくさん劇場に足を運びたいなと思う次第です。
来年はどんなエンタメに触れるのかなぁ〜。エンタメ摂取って人の作った物語に触れる喜びを楽しむことだなと思っていて、それによって今まで漫然と思っていたことが明確化したり、よりその物事を好きになったり、苦手なものの解釈の方法が分かったり、結局ようわからんかったり、様々な感情が去来する感じがとても好きです。
良質な作品を作り出してくれるすべての作者に感謝しつつ、来年も楽しくいろんなエンタメ接種をしていきたいと思います。
今年もお付き合いありがとうございました、また来年もよろしくお願いします。
皆様良いお年を!
完!
おまけ
今月のベスト
「見るは触れる 日本の新進作家展」@東京都写真美術館