稼いだ金全部使うウーマン

賃金を燃やした炎で不確かな足元を照らす日々

2022年9-10月 エンタメ消費

ノロノロしてたら11月に入ってしまった。

まとめられていなかった9月分と合わせて2ヶ月分のエンタメ振り返りです。

 

 

■書籍系

TLの評判がよく気になっていたところで、母からも「面白かったよ~」というレコをもらい遅ればせながら読破。村田作品を読むのは今回が初めてだったんだけど、読後になんとも言えない違和感が残る感じが面白くていい読書体験だった。嫌な気分じゃない違和感って後をひくので良い感じ。でも長く読むともらっちゃいそうだなとも思うので今度は短編じゃないものを読んでそこんところを確かめてみたいところ。

 

TBSラジオsessionのリスナーなんですが、そこでの「陰謀論」回の解説者として来ていた藤原学思記者の解説がわかりやすくいい感じだったのでより詳しく知りたいと思って書籍も読破。

アメリカで勢力を伸ばし続けるQアノンに関するルポで、きちんとした取材をもとにしているものの書き方は小難しくないし、自分ごととして置き換えられる距離感が読み進めやすくてよかった。

陰謀論てあまりにも荒唐無稽で思わず草つけて馬鹿にしちゃうところがあったんだけど、これを読んだら茶化して消費して良い問題ではない、かなり悪質で深刻な社会問題なんだと再認識したな。

特に日本への波及に関する章に書いてあった、日本の陰謀論の受け皿が敵と味方を単純に分ける「二元論的思考」リーダーを絶対的な心の拠り所にする「帰依」自分達と逆の価値観を持つ相手側から攻撃を受けているという「被害者意識」の三つ巴ってところあまりにも分かるすぎてぞっとして遠くを見つめてしまいました。

 

ライブ感とエンパワメントがいい感じのバランスを保っている良質エッセイ。コロナ禍に立ち向かい、疲れ、膿み、そして少しずつ適応していく様が読み取れてよかった。現実にバチギレてるグルーブ感もまたよし。

全人類例外なくコロナ禍の影響を受けているけど、当たり前にそのコロナ禍への対応とか過ごし方は千差万別だよなーと最近すごく思っていて、あの頃(まぁ今もだけど)みんな何を考えてて、どうやって過ごしてたのかな知りたいなっていう今の自分の気持ちにいい感じにフィットしたな〜。

 

少し前から追いかけ始めたので、もう完結なのか!と驚いてしまった。でもこの長さがちょうど良かった気もする。特にものすごい事件が起こるわけでもない、でもいろんな感情や変化が日常をグラデーションのように染めて変化につながっていく様にグッと来た。もう少し歳を重ねて再読したら感じることもまた変わって来そうだなとも思う。

 

こちらもコロナ禍を舞台にした作品群ということで興味が出て読んだ。どことなく不穏な、ひたひたとした焦燥感がまとわりつく感じに引き込まれたな。川上未映子作品のウェットさは短編の方が好きなのかも、って気がした。

 

あとり氏に教えてもらい、気になったので青空文庫で読みました。読んでから結構経つ今もまだ上手く消化できていないけど、すごく力強さのある作品で読めて良かったなと思う。人が生きたいと思う本能の理屈じゃなさを肌感で納得させられる筆力がすごい。

不治の病に関する物事に触れるとき、いつも早く亡くした父を思ってしまうなぁ。雨の夜に読んだこともあって、しばらく悲しいとも辛いとも言えない漠然とした気持ちの塊を背負った感じで果てしない気持ちになりました。

あと、内容はもちろん、題名「いのちの初夜」があまりにも完璧な題名なので、名付けた川端康成はやぱ凄だわと尊敬の念を新たにしたりもした。

 

■映像系


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Netflix「私は世界一幸運よ」

スリラーものかなと思って事前知識なしに見始めたんですが、どんどん引き込まれていきました。

辛い性暴力のシーンが多いのでダメージを受けるし簡単におすすめもできないが、自分の傷つきを認めてアウトプットすることで生まれる強さを描いててすごく良かった。しかし邦題どうにかならんかったんか?とはめっちゃ思う。

 


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Netflix「梨泰院クラス」

今更!?と思われるでしょうがそうです今更見ました。正確には最終話残り30分だけまだ見てないんだけどもういいかなという気もしている。

人気が出たのも納得のエンタメ感で終始楽しく見れました。個人的にはスア推しだったので、負けヒロイン(という言い方は嫌いですが)を推す悲哀を感じつつもパクセロイのキレ芸が好きすぎて、毎話毎話パクセロイの目が怒りに染まるたび「おっキレるぞ!キレるぞ!」と合いの手を入れて楽しみました。

 

 


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Netflix「きらめく帝国~超リッチなアジア系セレブたち~」Season2

久々に見たらしょうもなさ過ぎて謎に後をひきなんだかんだで完走してしまった。

誰かと誰かが喧嘩しただ付き合っただハブだ仲直りだわで登場人物の殆どは桁違いに金を持っていることを除けばメンタリティはほぼ思春期の学生レベル。ケインの「俺は感謝を言葉にするのに慣れてないから贈り物を贈る」という言葉には貢ぎの真理が詰め込まれてる感じで見ててウケちゃった。season3があるのかは謎ですが、作られたらまた見そうな気がする。金持ちのしょうもない小競り合いにはヒーリング作用があるので…

 


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アニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

前知識を全く入れていなかったんですが、第一話がほぼウテナと聞いて見始めました。キャラデザがすごく可愛くて、話の出来も良く楽しく追いかけてます。どの学生キャラも可愛くて応援したくなっちゃう感じなので、誰も悲しい目にあってほしくない、このまま学園ラブコメで終わってくれと思わずにいられませんがまぁガンダムだし無理だよネ♫

濃い推しを作ると辛くなりそうなのではんなり箱推しでやらせてもろてますが、グエルくんと弟くんとの関係値はこじれにこじれて欲しいところ。今後も楽しく追いかけて参ります。(と書いていたものの最新話見てうわーってなってます)

 

■展示


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「ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」@東京オペラシティアートギャラリー

あとり氏がすごく面白かったと言っていて気になっていたこの展示、終了ギリに駆け込んで無事見れました。

大小様々な作品があって、どこにあるかキョロキョロ探したり、タイトル読んで「なるほど…?(分かってない)」したり、体験としての面白さがあってとても良かったです。

様々な形態の作品がありましたが、やっぱり平面作品が好きだな。あと冒頭で流れている紹介動画(?)長すぎて途中離脱したものの、見ておくとすごく理解が深まった的なレビューを見て己の短気さにあのさぁ…といった気持ち。

しかし台風迫る休日午後だったのにものすごく混んでいて驚いた。いろんな年頃の人がキョロキョロしながら作品を楽しんでる様はいいもんですね。

 


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「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展 色を想像する」@東京オペラシティアートギャラリー

オペラシティの収蔵品をライアン・ガンダーがキュレーションして再構築した展示で、これ素晴らしかった!見たことある作品群も、並べ方やチョイスでこんなに印象変わるのかーって驚いたし反対側の壁に作品名が示される見せ方も楽しかった。このアーティストがキュレーションする収蔵品展、毎回やってほしいな〜と思いました。

 


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「コリドール project N 87 黒坂祐」@東京オペラシティアートギャラリー
毎回地味に楽しみなコリドール。今回のこちらもとても可愛くて好きな作品がたくさんあった!色やモチーフがかわいいね。このふたつ家に飾りたい。旅情が掻き立てられる。

 


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「開館15周年記念 李禹煥展」@国立新美術館
現美やオペラシティで見てからとても好きになった李禹煥の個展ということで見に行かなきゃ!と始まる前からワクワクしていたものの結局会期ギリギリに滑り込む感じになりました。東京、見たい展示が多すぎる。

私は李禹煥のことを絵画でしか知らなかったけど、会場には沢山の立体作品やコンセプトアートもあって新鮮で楽しかった。研ぎ澄まされているけど解釈の幅がある感じが好きだな〜


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「日本の中のマネ展」@練馬区立美術館

凄く評判が良かったので天気の良い日にふらっと見に行ったらとても面白くて嬉しい驚きでした。

19世紀のフランスを代表する画家マネがどのように受容され波及していったかを追いかけていく展示。マネの絵自体はほぼ展示はなく、マネの名画やその周辺の知識は当然知ってる前提でくるので、教養薄い勢としてはインターネットに助けられつつ回遊いたしました。

後半の近代日本でのマネ受容のゾーン、名画をこうやって再解釈したりアプローチしたりするのかって目が開く気持ちになって俄然ギアが入った感じに楽しかった。特に森村泰昌福田美蘭の作品群は素晴らしかったな、森村は図録のインタビューも面白かった〜。

マネのこと別に好きじゃない身でも物凄く楽しめたのでキュレーションて凄いなーって思うし、こう言う展示を見ると美術館ていいなーってワクワクしました。特に福田美蘭作品がどれも好きだったので、まとまって見れる機会などがあれば逃さず行きたいなー。展示を見に行って好きな作家が増えるのって本当に嬉しいものです。

こんな感じ!2月分まとめてなので結構量があるようなそうでもないような。

この2ヶ月は特に意識もせず気になるものをゆるーく摂取していたつもりだったけど、振り返ってみると何となく傾向があるのが個人的に面白いなと思いました。展示が当たりが多くて嬉しかった、今年に入って意識的にいろんな展示を見ていく中で、キュレーションによる面白さというものを知れたのはすごく良かったなぁ。あと自分ではチェックしていなかったものが大当たりなことが多いので今後も人のレコは意識的に摂取していきたい!と改めて思いました。

今年も残り少ないが、気になるエンタメは今後もどんどん摂取していくぞ!おー!

完。

 

 

おまけ

今月のベスト

「日本の中のマネ展」@練馬区立美術館

 

 

過去のも良ければ〜

 

aso414.hatenablog.com

 

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