稼いだ金全部使うウーマン

賃金を燃やした炎で不確かな足元を照らす日々

2022年8月のエンタメ消費

美味い物消費に続いて、エンタメも振り返ります。

相変わらず出だし文に書くことがない。あ、風邪なおました!健康は最高!

 

 

書籍

3ヶ月前くらいに買っていたのに、なんとなく入り込めなくて中断しいしい読んでいたんですが後半からの畳み掛けが凄くて、サビがはじまった感に沸き立ってしまった。以前読んだ「戦争は女の顔をしていない」とリンクするところもあり女性が戦争に奪われたものに想いを馳せたりもしました。

 

「82年生まれ、キム・ジヨン」の作者が書いた連作シスターフッド小説。これ素晴らしく良くて、読み終わった後しばらくじっと余韻に浸ってしまった。市井に生きる女性たちが「こんな思いはもう誰にもさせない」とそれぞれの不均衡に立ち向かう物語。不均衡を正す行動を起こす大変さ、尊さ、そこに見える人間の尊厳の輝きというか、すごく感じ入るものがありました。

 

Twitterでどなたかが言及されてて、面白そうと思って読みました。山本文緒作品はひとつも読んだことがなかったので、こういう人なんだーっと新鮮な気持ちになった。SNSはてブロで好きな同性のつぶやきを読んでる時とおなじヒーリングを感じたな、美味しいもの食べたり友達とおしゃべりしたり買い物したり落ち込んだり寝過ぎたりまぁまぁ仕事したり…。良いッ

前作が好きだったのでこちらも。前作の後書きに闘病されてたとは書いてあったけど、こんなに状況が悪かったのか…と驚いた。世に出るものはその人の状況の一面を切り取ったものに過ぎないというのは別にSNSじゃなくても同じだね。

一進一退をしつつも生活を営むことを諦めずいる姿がいいなーっと思いました。

後書きに「病気が治ったと思った時、私は青春が完全に終わったと思った。青春とはその人の生き方の落とし所を見つける旅ではないでしょうか、そういう意味で私の青春は終わった」と書いてあって、凄く心に残った。

 

こちらもTwitterで見つけて面白そう〜と思って読んだ。軽く読み進められるし、ハリウッドセレブも1人の人間であり、完成しきって世間に現れたわけではないんだなぁ(でもやっぱり元々のパワーみたいなものは桁違いだな)と感じられる。デンゼルワシントンがウィルスミスに言った「人生最高の瞬間に悪魔はやってくるものだ。誘惑に負けるんじゃない」はハリウッドセレブではない我にも沁みる名言。

 

十二国記信者なので、仕事終わるまで待ちきれず外回りの途中に買って昼休みに読みました。表紙美しい〜!

作者の小野主上のロングインタビューはもちろん、裏方さんたちのインタビューが手厚く乗ってるのがとても嬉しかった。とくに校閲の項がすごく興味深かったです。登高線まで引かれた地図つくってんの凄すぎる…みたい…。こういう優秀チームたちの力も合わさって最高の物語が作られてるんだ…と改めて胸熱気分です。もうこれを読んで私は辛抱たまらなくなり、インターネットフレンズたちと皆どこの国推し!?私は慶です!!とロングロングトークセッションをしてしまいそうでした。みんなと夜通し語りたい…枕を並べながら…。

 

映像

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映画「スワロウ」

prime Videoで視聴。スリラーかと思ったら女性の抑圧と解放、癒しを描いたいい映画だった。ヘイリー・ベネットの夢みるような妖精感がとても良い味を出していたな〜。

エンドロールがとても良くて見ていてなんだか嬉しかった。しかし映画内で救いと再生として示される決断が、今のアメリカでは困難になっている(日本も同様)と思うとゾッとするものがある。

 

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映画「ノット・オーケー」

Disney +で視聴。バズ欲しさにテロ被害者を演じた女の転落劇なんだけど、主人公のどうしようもない感じと本当のサバイバーのリアルな苦悩が乱反射して凄い色々考えさせられる話になってる気がする。すげーバランス感覚で作られてる映画だったな。結構好きでした。

 

展示


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「自然と人のダイアローグ」@国立西洋美術館

お盆時期に行ったからか、物凄い人入りで驚いた。お盆とはいえ平日だったのに…油断。しかし今年一番混んでいた展示だったな…久々に人の肩の隙間から絵を見るという体験をした。

様々な作品が展示されていましたが、やはり初来日のゴッホ「刈り入れ」が好きでした。光が溢れていてのどかで、死のイメージを描いたとは思えなかった。もしこれが死なのであれば、この時のゴッホにとって死は穏やかでやさしいものに感じられていたのかなぁとか思いながら見ました。他にもパウルクレーの作品も好きだったけど、なんかサクサク見終えてしまったという印象です。上野エリア、いつもなんとなく相性が悪い。次回リベンジしたい。

 

 

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ガブリエル・シャネル展」@三菱一号館美術館

母と行ってきました。初期から晩年まで幅広くカバーされていてかなり近づいて作品が見られるのが良い感じでした。さりげなく見えてもものすごく細かい意匠で、は〜って感じ、今でももちろん美しいがコルセットつけてた時代の人たちがこれを始めてみた時感じた新しさ、自由さっていかほどだったのかと思いを馳せてしまった。しかし会場が驚くほど黒く、案内標識も少なかったので時々経路がわからず立ち尽くしてしまったのが笑えた。

あとシャネルが欲しくて仕方なくなったらどうしようと不安だったんですがそんなふうには思わなかったからよかったです(財布的に)でも館内に思い思いにシャネルを持った女性が溢れていて、なんかいいなって思った。シャネル展だからシャネル持ってくぞ!っていうそういうおめかし心、愛おしいわ。

 

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「生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎」@アーティゾン美術館

同世代、同郷、同画塾であった青木と坂本の画業を並走させる形で見ていく展示。どちらもアホみたいに絵が上手いのですが、こんなに描けるもの同士が同年代で2人もいて、他の同世代たちのモチベ大丈夫だったんか?と見当違いの心配をしたりした。

青木の絵はすべて巻頭ぶち抜き見開き表紙です!!って感じに構図がバチバチに決まっていて格好良かった。なんか全ての絵の手がやけに長くて違和感を感じてたら本人もやけに手が長かったので納得。ちょこちょこ絵の師匠を俺のがもっと上手いもんね的に評してたり、自信作が評価されなくてヘソ曲げてたりして性格のキツさが見え隠れしててオモロかった。苦労の末早くに亡くなってたの知らなかったので、ここまで描けても大成しないって…芸術業こわ…ってなった。反して坂本は長生きだったのもあって絵柄の変遷が見えたのが楽しかった。初期の画力全面押し出しまくり絵も素敵だけど、晩年のドリーミーさが強く出た版画シリーズが好きだったな。色がいいよな、幻の中にいるみたいで。

2人とも美術の教科書で見た時はへーって感じで流してたので、改めてまじまじと作品を見れてよかったな〜。一度個別展示を見ると別の美術館や展示で見つけた時なんか嬉しいので。またどっかで見かけられるといいな〜。


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南桂子展 透き通る森」@ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション

版画家の南桂子作品が集められているこの美術館は過去にもきたことがあって、その時もすごくすごく好きだったんですが今回も本当に良かった。

南桂子の描くやさしい孤独って感じの寂寥感がたまらなく好きだなーと改めて再認識しました。ひとつひとつのモチーフも可愛いけどどこか切なくなるような寂しさを帯びていて素敵。

前回来た時に図録を買っていたのでたまに見返していたけど、やはり版画も本物が一番良いな。かなり好き度が高く、いつか叶うならひと作品手元に迎えたいくらい。絵を買ったことがないからわからないんだけどいくらくらいするものなんだろ…。

こんな感じ!

8月も結構色々摂取してますね。外回りが多かったので本もたくさん読めて良かったな。今月あんまり読んでないのでこれからブーストかけたい所存です。なんか締めの文言もあんま思いつかない、これにて完!

 

おまけ

今月のベストエンタメ

チョ・ナムジュ「彼女の名前は」