稼いだ金全部使うウーマン

賃金を燃やした炎で不確かな足元を照らす日々

2022年7月のエンタメ消費

美味いもんに引き続き、7月のエンタメ消費も振り返り!相変わらずこの前置きなんも書くことないな…。

今月のお品書きです。

 

 

 

映像系


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映画「バス・ライトイヤー」

正直初報が出た時は全く興味がなかったんですが(ひどい)、ディズニー強火ファンの夫に連れられて公開すぐに見に行きました。とてもよかった~~~(手のひらクルッ)

他者を守り導くんだという気概を持った強い人(バズ)が犯したミス、それを償う為にひたむきになって、その過程で一人ぼっちになっていく痛々しさがとても誠実に書かれていて「バズ…好き…推せる…がんばって…」ってなってしまった。

そしてそんな強く正しい人がより成長することは、その人から見たら弱かったり物足りなかったりする人間たちの個性を認めてともに挑戦することだというメッセージにグッときてしまったな~~。努力を惜しまず、優秀で結果を出している人が陥りがちな優生論的な思想にNOを突き付けている感じなのもよい。

本当に強い人は弱い他者に優しい人だと信じているので、バズが試行錯誤しながらそういう人になっていくさまが描かれている、そしてそれが彼の成長として肯定されていること自体が希望だわ…って思うなどしました。

あと猫型友達ロボットソックスたんが最高にかわいくてかわいくて大変なのでみんな見て!圧倒的犬派の私もソックスたんには完敗、どのアクションシーンも「(俺の)(いや俺のではない)ソックスたんは無事か!?」とハラハラしてしまいました。私にも賢くかわいいソックスたんをください…

 

映画「ビリーブ 未来への大逆転」

選挙前にNHK番組映像の世紀でRBGとそれに連なる女性たちの戦いの系譜を見て胸が熱くなったところにアマプラのおすすめで出てきたこちらを視聴。

RBGことルース・ベイダー・ギンズバーグが史上初めて挑んだ男女平等裁判に関してを描いた映画で、とってもとってもよかったです。現代の私たち女性が手に入れている権利のすべては、過去にこうやって声を上げて行動してきた女性が作り上げてきてくれたんだっていうことをまざまざと感じたし、ということは未来は今現在の私たちの行動で作り上げられるんだって身が引き締まる思いがした。

終盤、悪質なキャットコールを無視するルースに、娘が「ママ、言い返さなきゃダメ。戦わなきゃ」っていうシーンもよかったな。

そしてこうやって先人たちが作り上げてきてくれた様々なことが逆走していくみたいに崩れていくアメリカの中絶に関する様々な報道を見て本当に悲しい気持ちになってしまう。ジェンダーギャップ116位、G7最低たる本邦は言わずもがなですが…。

でもここで絶望して声を上げるのをやめてはいけない。未来は現在の行動から作られるということを胸に刻んで、ちゃんと声を上げていく人間でいようと思う次第です。私も言い返すし、戦うぞ!

 

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リゾのビックスター発掘(1)~(3)

我がブログでおなじみのマブあとり氏(id:aatorii)が激褒めしていたので意気揚々と見始めました。結果な~にこれ最高~!ってなってる。

リゾのバックダンサーを決めるためのオーディション番組なんですが、ありがちなライバル同士のいがみ合いとか、主催者からの過度な圧&ストレスとかがなくていい。番組通して「もっとあなたらしく輝いていいんだよ~」というメッセージを感じます。リゾがビックガールハウスを「安心して守られてるって感じられる場所を与えてあげたい(意訳)」みたいに言ってた時すごく嬉しかった。ほんと、すべての女の子にはそういう場所が与えられるべき…。

リゾ自体もDiVA然とした輝きを持ちつつ、常に弱さやつらい経験もオープンにシェアしていく感じで、すごく自然体でいいな~と思います。今の時代のDiVAだよな。そしてこれを見ていると「動けるヘルシーな体…いい!」と感じ運動への意欲が燃えるのもいいところ。痩せなきゃ…とかじゃないところがポイントです。

引き続き楽しく追っかけていきたい!

 


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映画「プロミシング・ヤング・ウーマン」

※結末ネタばれ込み※

映画館でやってる時に講評を見て、面白そうだなーと気になっていたものの逃したのでprimeに出たタイミングで見ました。

ガーリーで可愛らしい画面の中で突き付けられる女性の現実にうっとなってしまう。

しんどいなぁと思ったのはこれだけ倫理観なしに振り切った主人公も、命を懸けないとリベンジできないんだということ。

加害者のことを絶対誰も許さない、逃がさない、と執着する主人公が痛々しくてつらい。公的な裁きがしっかりしてないから、結果命を懸けるしかなくなるんじゃん、司法がおかしいんじゃん…裁きを個人に負わせるな!!とイライラしてしまった。大切で心許せる彼氏も、ボーイズクラブの中にいるとき加害性を帯びるというところもリアルでした。つら…でもよくできた映画だったよなとも思います。

しかしリアルすぎて男性にはかなり居心地悪い映画なんじゃないだろうか。これを見てぐだぐだ言わないやつはかなり見どころがあると思う(どこ目線?)

 

書籍

安倍晋三元首相襲撃事件後すぐくらいにバズっていたツイートで出典として記載されて気になったので読みました。

オウム事件を長く取材している作者がオウム事件で死刑囚となった元信者たちの来歴を踏まえて「カルトとは何か」「集団や教義を優先する穴に陥らない為にどうするべきか」を分かりやすく書いた本。

ものすごく陰鬱な気持ちになるのですが、岩波ジュニア新書ということもあって平易な文で分かりやすくまとめてある。カルト宗教の仕組みや怖さ、そこから抜け出るのがいかに困難かが身に染みるほど感じられるので義務教育の課題図書とかにしてほしい…。

個人の「感性」は凶行を拒否していても、教義とコミュニティ内での人間関係にからめとられてその感性を無視してしまう。そしてそれが自分にとっても他人にとっても取り返しのつかない悲劇となるというところが特に胸に迫りました。感覚的に「それはできない」と思うことはしないようにしよう、と心に刻むなどしました。

 

こちらもツイッターで「最新話がとんでもなく地獄」と話題になっていて気になったもの。コミックス購入&最新話までアプリで読みました。

自分を搾取する男と離れられない(でもそれを認められない)女、それを心配する女、そこに現れた嘘みたいに正しくフェミニズムをインストールしたおじさん。と登場人物がそれぞれどこか自分や身近にいる人の気配を感じるようなリアルさで引き込まれて読みました。話は結構つらみが強く、読み終わった後やや虚無な気持ちを引きずってしまったんですが、色々失敗しながらも人生を生きていくキャラたちを応援したい。そんな気持ちになりつつ、元気じゃないときは読まないでおこう…と思うなどもしました。リアルすぎてもらっちまうんだわ。

 

いま日本で最も読後「身近にいる大事な人を大切にしよう」と思える漫画ことブランチライン。最新刊もとてもとてもやさしい話がぎゅっとしていて、眠れない夜にホットミルクを飲んだようなそんなまろやかな気持ちになりました。

何か特別なことが起きるわけではないのに、なんでこんなに幸せな気持ちになるんだろうな~、それぞれが自分の人生を誠実に生き、周りをいたわっている気持ちを隠さないからかなと思うと私も周囲を大切にしていきたい…と決意を新たにしました。さすがいま日本で最も以下略。

 

前作「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」が面白かったので、最新作もポチりました。表紙可愛いな。

前作は見たことのない作品も多くて、ふーん、そうなのか〜みたいなゆるいノリで読んでいたんですが、今作は読んだり見たことがある作品が8割だったのでより興味深く読むことができてよかった。講評系はそのものを知っていないと入りづらいんだな、読書日記とかは知らなくても面白いのにな。そこらへん不思議です。特に第2章の「男たちのデス・ロード」が面白かった。特にWikipediaの章。ウィキって無性物として見ていたんですが(?)ここにも不均衡があったのか…。あと私はキャサリン妃のマックイーンのウェディングドレスのwiki記事を読み込んだ事があるので、あれ書いたのあなたですか!?って驚きもあってよかった。

常々、作者のクールだけど喧嘩早い感じがいいなと思っていたので文中で「人と争うのが全く苦にならない」って断言しててやっぱり〜!って気分になったりもした。しかし全く苦にならないってすげえ、っょぃ。

 

展示系

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「Anish Kapoor: Selected works 2015-2022」@SCAI PIRAMIDE

7月はあとり氏に連れられ、小規模な展示を見て回りました。私はつい大きめな企画展ばかりチェックしてしまうのでアンテナ張ってるフレンズの存在心強い。

鏡面みたいに磨き上げられた立体作品たちが揃っていて、映り込む風景が反転したり消えたり焦点が合わなくなったりと異世界感が面白い。反射の色味が美しかった<eclipse>が1番好きだった。

(画像は公式より)

 

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ゲルハルト・リヒター Drawings 2018–2022 and Elbe 1957」@ワコウ・ワークス・オブ・アート

同じビルでやっていたリヒターのドローイングをまとめた展示。

東京国立近代美術館の回顧展に行ったばかりなので副読本的にも楽しかった。地図みたいにも見える流線と色の重なりが面白い。作者の思考のスケッチを見てる感じがして、まぁ何考えてるかは全然わからんのですけど面白い!ってなりました。

年齢を重ねて「よく分からんことが面白い」という感覚があるということを知りました。

後日、記事でここに展示されてた作品は販売していたと知り買えたんだ…!ってびっくりした。欲しいわけじゃないんだが値段知りたかったな。

(画像は美術手帖より)

 


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竹村京と鬼頭健吾「色と感情」@ポーラミュージアムアネックス

こちらは銀座。

写真や印刷物の上に刺繍を重ねるみたいな作品群がグラデーションがあって面白かった。ポップだけどちょっと毒っけもある感じ。PARCOを感じる…(?)

「色は世界共通言語」という前書きがあって、その感覚なかったけど確かにだなーって思ってそういう部分の気づきも含めてとても面白かったです。

以上!7月は結構バランスが良く広範囲を摂取できたのではないだろうか。小説をよんでないので、8月は読みたいな。

7月は選挙やそれに連なる様々な報道や社会情勢に影響されたのか、困難な状況下でも負けず戦い続ける人間の物語を求めていた気がします。まぁ通年そういう物語が好きですが、7月はその傾向が特に強かった。

現実があまりにもあんまりなので「もうなんも考えるのやめたい…」と虚無になることも多いんですが、そういう時に行動すること、考えること、発言することをあきらめない作品たちにパワーをもらっています。創作物が与えてくれるポジティブパワーに助けられつつ、まだまだ暑い夏乗り切っていきたい。

完!

 

 

おまけ:今月のベスト

江川紹子「カルトはすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者達」

※エンタメと称しちゃダメなものかなと思うので、エンタメ表記は無しで。